過去の本会議の録画映像を御覧いただけます。
令和 5年 9月定例会( 9月13日) 日程第2 一般質問
大畑 美紀(日本共産党市議団)
1 空家等対策特別措置法改正により、本市の空き家対策の今後は2023年6月14日、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(改正空家等対策特措法)が公布され、公布から6か月以内に施行される。主な改正内容は、管理の確保への指導・勧告制度の創設、空き家の除去促進のための市町村の代執行など権限を強化することや、財産管理人に対する特例措置、活用拡大のための空家等活用促進区域の指定、などである。本市内における居住目的のない空き家は、平成27年実態調査によると1,291戸で、その後増加し、近隣住民の生活不安を招いている例もある。法改正が本市における空き家対策に与える影響や今後の市の方針について次の点を問う。
(1)改正法では、新たに空家等活用促進区域を設け、接道規定などを緩和するという特例規定があるが、安全性の低下を招かないか。現建築基準法の規定にある緩和措置でも可能であり、その違いは何か。空き家をまちづくりや観光資源として活用していく際には、区域内外の住民の意見を反映させるべきだがどうか。民泊への活用も想定されるが、全国的には民泊施設が周囲に悪影響を及ぼしている例もあり、何らかの規制が必要ではないか。
(2)改正法により、特定空家になることを未然に防ぐために、管理不行き届きの空き家に対して指導・勧告ができ、特定空家の除去には緊急時の代執行ができるようになるが、市が所有者や相続人を特定し、管理の確保へ結びつけることが促進できるのか。また、家屋だけでなく、敷地内の草木が景観や安全に悪影響を与えている場合もあるため、以前提案した草刈り条例制定を考えてみてはどうか。
(3)空き家対策として、空き家の有効な活用策とともに、空き家を生まないための方策は。新築住宅優遇措置などの持ち家中心政策ではなく、住宅リフォーム助成制度の復活や、公営住宅を増やすことなども必要ではないか。
2 黒い雨被爆者全員の救済を
黒い雨訴訟で2021年に広島高等裁判所が出した判決では、国が指定した範囲以外を認めてこなかったことを違法とし、原告84人全員が被爆者と認定された。その後、原告と同じように原爆投下の日に黒い雨を浴びた人が、被爆者健康手帳の申請をし、多くが認定されている。しかし、被爆の事実が確認できないなどとして、却下される例が出ており、今年7月には、23人が集団訴訟を起こしている。すべての黒い雨被爆者が被爆者として認められ、救済されなければならないと考え、次の点を問う。
(1)市の情報提供や相談事業はどのように行っているのか。廿日市市民で、黒い雨被爆者として被爆者健康手帳の申請・認定・却下それぞれの数を把握しているか。
(2)判決は、被爆者の該当基準を「原爆の放射能により健康被害が生じることを否定できない」ことを立証すれば足りる、とし、原爆の影響が考えられる疾病の発症がなくても被爆者と認めるものである。しかし実際の認定においては、11疾病のいずれかにり患していることを要件とし、胎内被爆者については、申請者の証人のみならず、申請者の母親に関する証人の証明書も必要になるなど、高齢になった黒い雨被爆者の申請をより困難にしている。また、雨域図(宇田・大瀧・増田雨域図)に示された雨域以外にも黒い雨が降ったことは、申請者の証言が一致するが、公表の雨域以外で、認定された人と却下された人がいる。判決では、黒い雨を浴びていなくても、空気中に滞留する放射性物質を吸い込むなどして体内に取り込んだことが否定できなければ、内部被爆による健康被害を受けた可能性があると指摘している。過去の調査が及んでいない地域もあることや、当時、山や川の水を飲料水、生活水として利用していた世帯が多いこともあり、原爆投下後の放射性物質の影響を受けている可能性のある範囲は広がるのではないか。判決内容と矛盾するような被爆者認定の在り方について、どう考えているか。市として国に対し、判決に従いすべての被爆者を救済するよう要請すべきだがどうか。
3 平良丘陵開発 観光交流エリア整備について
新機能都市開発、平良丘陵開発土地区画整理事業のうち、観光交流エリアにおける事業候補者が決まり、事業構想が公表された。構想は「宮島・地御前神社・極楽寺山の3つの神聖な場を結ぶ場所に新たなパワースポットが誕生」「瀬戸内・山陰観光のハブ(広域拠点)とし、廿日市市から瀬戸内・山陰を盛り上げる」「年間誘客見込み約400万人、市域全体の観光消費増加額約200億円(波及効果含む)」など、バラ色に描かれているが、観光交流エリアの整備が市民生活向上に資する事業であるかどうか不明であり、次の点を問う。
(1)土地区画整理組合の構成、市と組合との関係及び組合の中での市の役割、代行事業者西松建設(株)と組合との関係、市・組合・代行事業者それぞれの責任の在り方は。
(2)宮島観光との関連、沿岸部の観光事業者、とりわけ宿泊施設などへの影響予測は。構想のような期待通りの効果が得られると考えているのか。将来予測及びリスク予測はどうか。もし事業が行き詰まった場合の責任は誰がどうとるのか。土地は(株)アクアイグニスや西松建設(株)他が出資する特定目的会社(SPC)に売却する予定になっているが、市有林もあり、市民の共有財産である土地を民間企業に売却することは避けるべきではないか。
(3)立木の処理方法、搬出入土砂量、工事過程でのCO2排出予測及び排出抑制策は。開発自体がゼロカーボンシティの方針に逆行するのではないか。気候危機打開や食料危機回避が急務の今の時代に合った土地利用の方策は考えられなかったのか。